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    美しい国へ   本文に出てこない「美しい国」の不思議 安倍晋三    2006.11.8

    第1弾
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    空虚な 『 美しい国 』
    この著書については著者は誰なんだ?とか、また書名のいわれについてもいろいろ言われているが、しかしなんの先入観もなしにこの本を読んでみると、
    著者が総理大臣になる予定の人物で、本人もそれを意識していた時に書いたもののようなので、その前提でいけば安倍晋三がなんか『すばらしい夢のようなところ』へ日本を導いていってくれるかのようなイメージを読者に抱かせるのはごく自然なことのように思える。

    上図のように表紙の帯には「自信と誇りのもてる日本へ」と朱書きで、大きめな書体で書かれている。
    これも輝かしい未来の日本になるかのような印象である。

    で、どんな風に美しいかと本文を探しても 「 美しい国 」の定義はどこにもない!
    本文にはこの 「 美しい国 」の4文字すらただの一箇所も登場しない!

    これまでのぶら下り会見でも国会答弁のなかでも何回となく聞かされたこの4文字である。しかし、ただ壊れたレコードみたく、なんの意味もいわれもなくただ「 うつくしいくに 」と発音していたにすぎないことがこの本をつぶさに調べたらわかった。

    そこで、検証するためにどこにその4文字が書かれているかと調べてみると、
      場所
    おもて表紙に書名として
    うら表紙に本を宣伝する目的で次の文の中にひとつだけ登場する。
    唯一センテンスの中で登場する「美しい国」の4文字だが、続く宣伝文句と「美しい国」とのつながりも不明である。

    美しい国へ  「日本」という国のかたちが変わろうとしている。
    保守の姿、対米外交、アジア諸国との関係、社会保障の将来、教育の再生、真のナショナリズムのあり方・・・・その指針を明示する必読の書。

    次のページに書名として
    目次のトップに
    巻末の出版社を明記しているところで書名として
    これですべてである。
    それにしてもこの本の中でうら表紙にたった一箇所だけ、しかも意味不明なままというのも釈然としない。

    一般的に本を出版するときに著者が題名を考えても編集者が「それじゃ、売れない!!中身は先生が好きなように書いてっ!題名はこちらが決めるから・・・」と一蹴され、まったく別の書名にされることが多いのだが、この「 美しい国へ 」の場合はどうであっただろうか?著者本人が頻繁に使っているところをみると著者の思いが生かされたとみているがどうだろうか。

    首相所信表明演説でも頻出語句堂々第4位で、9回も登場していた 「美しい国 」であり、また国会答弁でも日ごろのコメントのなかにも耳にタコができるくらい聞かされていた4文字である。これについて、

    だれも不思議に思わないだろうか・・・・
    これだけ頻繁に口先からでている音の正体がなんであるのかを・・・


    確かなイメージをもった言葉をずっと大事にしてきたなら、本文の中でこの言葉にかかわるエピソードがあったとか、こういう思いがあるとかの強烈なメッセージがあってもよさそうなものである。まったくないというのはどういうことだろう。

    本文の中で「美しい」を探すと次のように4箇所にでてくる
    桜が咲く四月頃が一番美しい、
    人々の心、山、川、谷、みんな温かく美しく
    如何にして最も気高く最も美しく死せむか
    わたしたちの国日本は、美しい自然に恵まれた
    このような自然の美しさだったり、死生観をイメージしているのだろうか。

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    となると、巷でいわれているような出版物の影響を受けているのではないかと憶測を呼ぶことにもなるのだが・・・・
    そこでその4文字の出自?である「 美しい国へ 」の本の中身をもっと仔細に範囲を広げて調べてみることにする。

    美しい 」の3文字で調べてみると、上に上げた書名以外に4箇所で「 美しい、美し 」がでてくる。
    なんか国語の試験みたいで恐縮であるが、以下の4つのセンテンスにそれぞれ一箇所づつ織り込まれているので、それぞれのセンテンスを読んで安倍晋三が連呼しているその真髄を探ってみてくだされ。

    といってもこんなくだらないことに時間をかけるのは馬鹿げているという反論もでてきそうである。しかし、この本に書かれていることが一つずつ法律の改正という形になっていくとしたらこの本の存在を「駄本だぁ!」といってとても片付けられないと思う。

    私の小学校中退の国語力では歯が立たないので、教養あふれる読者の皆さんでイメージを膨らませてみてくだされ。
    ゴルバチョフ会談に随行する P.34〜P36
    「創造的外交」の大きな成果の一つに、旧ソ連共産党と自民党との政党の交流がある。
     当時ソ連のシェワルナゼ外相と合意したものだが、ペレストロイカ改革を推進しているゴルバチョフ書記長との会談をきっかけにして、日ソ交流を促進させ、最終的には、日ソ平和条約の締結と北方領土の返還をめざそう、という壮大な計画である。ペレストロイカ への支持と援助がほしいソ連の、次のトップリーダーは安倍晋太郎だと見こしてのアプローチであった。
    一九九〇年一月、自民党訪ソ団の団長安倍晋太郎とゴルバチョフの会談はモスクワのク レムリンでおこなわれた。わたしも同席した。
    「日本国民は、あなたの訪日を待っている。来年、桜が咲く四月頃が一番美しいが、どうか」
    「それに、なんら支障が起きないことを期待している」
     会ってすぐの訪日の誘いに、書記長は了承した。いつもそうだが、父は、あいまいないいかたはしない。ずばり要求をだした。 「日ソ両国は、両国間の困難な問題を克服する時期にきている。ゴルバチョフさんが書記長の時代に、ぜひ叡智をもって解決してほしい」
     安倍晋太郎のこの呼びかけは、書記長から、日本の領土返還の主張は「固有の権利であ る」とする回答を引き出すことになった。領土問題を解決する方向で考えよう、というこ とである。講和条約をたてに、返還をかたくなに拒否していたかつてとくらべると、大きな進展だった。
      曾我ひとみさんが教えてくれたわが故郷 P.95〜P.97
    「地域コミュニティの再評価」をスローガンにして活動している人たちのなかには、地域 にたいして愛着をもつのは、よいことだが、国家にたいして愛着をもつのは、ごめんだ、 という人がいる。そういう人たちには、地域社会から国家をバイパスし、一足飛びに地球 市民にいってしまう考えの人が、なぜか多い。
     地球上のすべての人類が、自分の生まれ育った地域を大切にすれば、やがて地球がひと つの大きなコミュニティになる、という考え方である。一見正しいように思えるが、どこ か不自然だ。
     地球市民というのは、人類がかかげるべき概念のひとつかもしれないが、事実上空想の 世界でしかない。かりに実現したとしても、その市民の安全や財産、あるいは人権をいっ たいだれが担保するのか。基礎的な単位が必要であり、その単位が国家であるのは自明だ ろう。にもかかわらず、その国家をバイパスするという感性が育まれた背景には、戦後日 本が抱えてきた矛盾が大きく影響している。国家という概念へのアレルギーが、地域住民 と地球市民をダイレクトに結びつけてしまう作用をはたしてしまうのだ。
     そもそも、人間はひとりで生きているわけではないし、ひとりでは生きられない。その 人の両親、生まれた土地、その人が育まれた地域のコミュニティ、そして、それらをとり まいている文化や伝統や歴史から、個人を独立させて、切り離すことなどできないのだ。 人は、「個」として存在しているように見えるが、その実体は、さまざまなものとつなが っていて、けっして「個」 ではない。国もまた、同じだ。人が生まれて成長して年をとっ ていくうえで、切り離せないものとして存在しているのである。
     ここでいう国とは統治機構としてのそれではない。悠久の歴史をもった日本という土地 柄である。そこにはわたしたちの慣れ親しんだ自然があり、祖先があり、家族がいて、地 域のコミュニティがある。その国を守るということは、自分の存在の基盤である家族を守 ること、自分の存在の記録である地域の歴史を守ることにつながるのである。 北朝鮮に帰属の権利を奪われた拉致被害者のひとり、曽我ひとみさんが、二〇〇二年秋、 二十四年ぶりに故郷の佐渡の土を踏んだとき、記者会見の席で読んだ自作の詩があった。
     みなさんは記憶しているだろうか。自らの国を失うとはどういうことか、国とはわたし たちにとって、どういう存在なのか、率直に、そして力強く語りかけてくれたのを。 《みなさん、こんにちは。二十四年ぶりにふるさとに帰ってきました。とってもうれしいです。心配をたくさんかけて本当にすみませんでした。今、私は夢を見ているようです。 人々の心、山、川、谷、みんな温かく美しく見えます。空も土地も木も私にささやく。 「おかえりなさい、がんばってきたね」。だから、私もうれしそうに、「帰ってきました。 ありがとう」と元気に話します。みなさん、本当にどうもありがとうございました--》
     「公」の言葉と「私」の感情  P.106〜P.108
      六十年前、天皇が特別の意味をもった時代があった。そして多くの若者たちの、哀しい 悲劇が生まれることになった。
    《如何にして死を飾らむか  如何にして最も気高く最も美しく死せむか  我が一日々々は死出の旅路の一里塚
          (中略)
     はかなくも死せりと人の言はば言へ  我が真心の一筋の道  今更に我が受けてきし数々の  人の情を思ひ思ふかな》(神坂次郎著『今日われ生きてあり』新潮文庫)
      もはや敗戦の色が濃い、太平洋戦争の末期。鹿児島県知覧の飛行場から沖縄の海へ飛び立っていった陸軍特別攻撃隊・第五十五振武隊に所属する、鷲尾克己少尉の、二十三歳の ときの日記の一部である。
     国のために死ぬことを宿命づけられた特攻隊の若者たちは、敵艦にむかって何を思い、 なんといって、散っていったのだろうか。彼らの気持ちをつぎのように語る人は多い。
    《かれらは、この戦争に勝てば、日本は平和で豊かな国になると信じた。愛しきもののた めに − それは、父母であり、兄弟姉妹であり、友人であり、恋人であった。そしてその 愛しきものたちが住まう、日本であり、郷土であった。かれらは、それらを守るために出 撃していったのだ》
     わたしもそう思う。だが他方、自らの死を意味あるものにし、自らの生を永遠のものに しようとする意志もあった。それを可能にするのが大義に殉じることではなかったか。彼 らは「公」の場で発する言葉と、「私」の感情の発露を区別することを知っていた。死を 目前にした瞬間、愛しい人のことを想いつつも、日本という国の悠久の歴史が続くことを 願ったのである。  今日の豊かな日本は、彼らがささげた尊い命のうえに成り立っている。だが、戦後生ま れのわたしたちは、彼らにどうむきあってきただろうか。国家のためにすすんで身を投じ た人たちにたいし、尊崇の念をあらわしてきただろうか。
     たしかに自分のいのちは大切なものである。しかし、ときにはそれをなげうっても守る べき価値が存在するのだ、ということを考えたことがあるだろうか。
     わたしたちは、いま自由で平和な国に暮らしている。しかしこの自由や民主主義をわた したちの手で守らなければならない。そして、わたしたちの大切な価値や理相心を守ること は、郷土を守ることであり、それはまた、愛しい家族を守ることでもあるのだ。
     この鷲尾克己少尉の日記の最後の部分は、とりわけわたしの胸に迫ってくる。 《はかなくも死せりと人の言はば言へ 我が真心の一筋の道》自分の死は、後世の人 に必ずしもほめたたえられないかもしれない、しかし自分の気持ちはまっすぐである。


      再チャレンジの可能な社会へ P.227〜P.228
      わたしたちが進めている改革は、頑張った人、汗を流した人、一生懸命知恵を出した人 が報われる社会をつくることである。そのためには公平公正、フェアな競争がおこなわれ るように担保しなければならない。競争の結果、ときには勝つこともあれば負けることも あるが、それを負け組、勝ち組として固定化、あるいは階級化してはならない。誰もが意 欲さえあれば、何度でもチャレンジできる社会である。
     そういう「再チャレンジ可能な社会」 には、人生の各段階で多様な選択肢が用意されていなければならない。再チャレンジを可能にする柔軟で多様な社会の仕組みを構築する必要がある。
     たとえば、十八歳のとき受験に失敗した人が、二十七歳のとき、もう一度勉強して人生 を変えたいと思い立てば、働きながら大学や大学院で、社会で役に立つ実践的な講座を受 講することができる。そしてそれは社会から評価され、キャリアアップにもつながる、そ ういう社会をつくっていくのである。
     一回の失敗で人生の決まる単線的社会から、働き方、学び方、暮らし方が複線化された 社会に変えていきたいと思う。

     わたしたちの国日本は、美しい自然に恵まれた、長い歴史と独自の文化をもつ国だ。そ して、まだまだ大いなる可能性を秘めている。この可能性を引きだすことができるのは、 わたしたちの勇気と英知と努力だと思う。日本人であることを卑下するより、誇りに思い、 未来を切り拓くために汗を流すべきではないだろうか。
     日本の欠点を語ることに生きがいを求めるのではなく、日本の明日のために何をなすべ きかを語り合おうではないか。
    ホームへ   改正さきにありき 教育基本法 ・・第2弾


    To be continued ・・・・

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    ※ 美しい国へ  第3弾  民主国家にほど遠い時代錯誤で、強権さをやり通すことに恐れおののく 2006.11.20
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