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2006.3.21初版

沖縄の深い闇  刑事調査官がやってきた

★お知らせ: 論点整理 もくじ に新規追加しました  2006.7.27 

このページ以降からは情報が極端に少なくなり、文字通り闇に入っていく。
検死制度の置かれている実態をとらえながら野口さん事案がどうであったかに迫る試みをしてみる。
必然的に仮定の話、想像の話が多くなるのはやむをえず、「そんな事をやっても無意味だ」と思われるかも知れない。
しかし、実際に起きた他の事件の数々を知れば背筋が寒くなると思う。
決して人ごとは思えず、いつ知人・家族に関わるかも知れず、知識として知っておくことは重要であると考えてあえてトライしてみる。
これは誰にでも降りかかる可能性のあることだから。

なにぶんにも誤解、無知によって記述がされている部分があるやも知れないが、皆様の忌憚のないご指摘をいただけたら幸いである。

那覇署は 1月18日18:30頃、遺族に対して電話連絡をしている。「お宅のせがれさん、自殺ですよ」。
だめ押しをするかのように 翌1月19日朝に渡真利健良副署長が「第一発見者の話、状況などにより、第三者の介入の余地は無いと判断し… 他殺ではないと断定しています」と発表している。
副署長が「他殺ではないと断定した」わけで、悲惨な状況を聞かされれば、これはもう「自殺」と思わざるを得ない。薬物によるものとか事故に巻き込まれたものとは誰も思わない。

電話連絡してきた署員も「自殺」だと伝えた。

この那覇署の一連の動きは遺族に対して確実に「自殺メッセージ」として伝わった。
事実、野口夫人はコメントしている。
「自殺だと思っていたから、”なぜ自殺しなければいけなかったんだろう” と思っていた」
「身元確認に行った時に、少しでも自殺ではないんじゃないかと疑問にもてばよかったのに・・・。その時は、主人が死んだという事実を受けとめることしかできなかった。あとは何も考えられなかった。」
と「自殺メッセージ」が深く脳裏に焼き付けられたことがわかる。

それゆえ遺族は「自殺」と思いこんで沖縄にいる野口さんに会いに行っている。「1月19日・・・朝、6時すぎの飛行機で沖縄へ」と2006年2月21日 (火)のブログの冒頭でその経緯が書かれている。

気が動転して何が何だか分からない精神状態に陥っているだろうと誰でもが想像できるそんな遺族に対して、警察がだますに等しいことをやるだろうか。 しかし、後から振り返ってみれば、状況を総合してそれが行われていたのではないかと思える。

いやいやそういうことではなくて、その時刻1月18日18:30頃前までに警察が依頼した医師(警察医)による検死もちゃと済んですんでいて、その医師が死体検案書を作成してその中の<死因の種類 (Manner of Death)>として、「9.自殺 (Suicide):死者自身の行為に基づく死 (手段・方法は問わない)」に○がついていて、那覇署長の責任において「死因の認定」が行われ、それに基づいてそれ以降の報道機関への発表も行われていた。また、消防、警察、証言者の発言がコロコロ変ることもなかった。
そういうことであったならその後、遺族が気を取り戻して平静になったときでも、野口さんの死に対して疑念を持つことはなかっただろうと推定される。 そんな状況なら解剖をすることもなかっただろう。

しかし現実はそうではなかった

2006年3月1日国会答弁で沓掛哲男・国家公安委員長が「・・・その死因が何であるか調査する。沖縄の場合も刑事調査官が行って調査している。・・・」と述べている。遺体の状況、現場の状況、周辺の聴取を調査をしたとなっている。
そのあとで解剖をおこなったと明言している。
先回の国会では登場しなかった刑事調査官が初めて登場してきた。「あれっ!、どういうことだろう?」と思った。あえて今回登場させなければいけなかったのだろうか?と、初めて聞く名前に疑問を持ち、調べてみた。

2006年3月1日衆議院予算委員会第一分科会・原口議員質疑、
縄田修・警察庁刑事局長、沓掛哲男・国家公安委員長、原口一博・民主党衆議院議員   
●沓掛 野口さんが自殺かどうかについては、死体があると警察署長が異常であれば、まず県警本部長に伝える、そこで必ず刑事調査官という刑事を10年以上やり医学的知識もある調査官が中心となって、その死因が何であるか調査する。沖縄の場合も刑事調査官が行って調査している。調査するのは、遺体がどうか、遺体の置かれた現場がどうか、周辺の聴取により、そこで、犯罪に起因するものかそうでないかという判断をする。そして、犯罪に起因するものでないということが明らかであったということだ。
その上で行政解剖を行った。いくつものキズもあり、睡眠薬も飲んでいたので、どれが決め手で死んだのかを調査した。琉球大学医学部の教授で、経験のある人が行政解剖を行い、どの点を見てみても自殺以外は考えられないという結論になった。
その後のことについては、その結論で収束しているということだ。
暴力団の対策については、懸命にやっているが、この人と、野口さんとの関連については特に出ていないし、これと関連していることについては、野口さんの尊厳というものもあるし、特に「ない」と申し上げておく。以下省略


なんで刑事調査官がやってきたのか?
刑事調査官がどんな任務を負っているかを調べると、
「死体取扱いを専門にする担当官である」、
「死体取扱数は年々増加し、自殺や事故を偽装した殺人事件等事件性の認定が困難なものが目立っている」とある。

もう少し、用語の定義をしておかないと誤解が生じるかもしれないのでまとめてみる。
「けんし」と発音はいっしょだが、漢字もことなり意味も違う用語がある。
検死・・・・医師の身分をもつものが行う検分であり、検屍とも呼ばれる。
検視・・・・刑事訴訟法229条にもとづいて、犯罪の嫌疑の有無を明らかにするための刑事手続である。検察官または司法警察員が検視を行う。
司法警察員・・・・捜査に関して、司法巡査には認められない特別の権限を付与された司法警察職員をいう。いわば、司法巡査が捜査に関しては“見習い”の警察職員であるのに対して、司法警察員は捜査に関して“一人前”の警察職員である。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)から引用した。

変死体であったときは、検察官もしくは司法警察員が検視を行う。検視は捜査そのものではないが一環として行われ、鋭敏な捜査感覚と法医学的な知識を要する。そのため、刑事調査官あるいは検視官と呼ばれる特殊な訓練を受けた司法警察員が検視をしているのが現状である。検視規則5条では、必ず医師の立会いをもとめて、死体を検分しなければならないとなっている
刑事調査官は警視以上の階級である。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)から引用した。

刑事調査官の任務
として8つあるが、そのなかでそのうち野口さん事案で那覇署にやってきた任務がどれかと見てみると関係ありそうなのが2つある。
● いわゆる行政検視の認定検討等
   死体取扱規則(昭和33年国家公安委員会規則第4号)第4条第1項の規定により
   警察署長が「その死体が犯罪に起因するものでないことが明らかである」と認める際において、その認定の検討及び助言を行うこと
● その他死体事案に関し刑事調査官として行うことが適当と認められること。


のどれかに基づいていると考えられる。そのほかは刑事訴訟法により云々だから野口さん事案では該当しないと思われる。
野口さん事案では「いわゆる行政検視の認定検討等 」に基づいた任務と考えているが、実務ではそんな名目云々より刑事調査官が動いたか否かがポイントとなる。

その仕事の中身は死因の認定の検討と助言となると書いてあるが、しかし、「死体に対する死因の認定責任」はあくまでも警察署長にある。野口さん事案では那覇署長が責任者となる。

沓掛大臣は答弁の中で、「・・・調査官が中心となって、その死因が何であるか調査する・・・」と刑事調査官が主であるような印象を与える発言をしている。たしかに技術的には調査官がメインとなるが、しかし、あくまでも「死因の認定責任」が警察署長にあることにはかわりがなく、補佐、助言を与えることはあっても刑事調査官が責任をとることはない。

そうすると、なんで沓掛大臣が刑事調査官をもちだしてきたのだろうか
1回目平成18年2月7日の国会答弁では刑事調査官の話は一切でてきてなかった。
2回目平成18年3月1日の国会で、なぜか刑事調査官がでてきた。
一回目はあえてださなくとも説明ができると踏んで答弁にあたったが、結果的には沓掛大臣も縄田刑事局長もしどろもどろになってしまった。
その反省を踏まえて、論拠を補強しようと「専門職の刑事調査官がちゃんと調査したんだよ!」「だから間違いがないんだよ!」という補強をしたいがために刑事調査官をもちだしてきたのではないかと見ている。

また答弁の冒頭で、沓掛大臣は「警察署長が異常であれば、まず県警本部長に伝える、そこで必ず刑事調査官という刑事を10年以上やり医学的知識もある調査官が中心となって、その死因が何であるか調査する。」と述べている。
死体取扱規則の第四条で、死体が発見されたら警察署長は、すみやかに、警察本部長にその旨を報告することとなっている。
那覇署長は「その死体が異常と判断して県警にその報告をし、県警は刑事調査官の出動を命令した」と読みとれるのだがどうだろうか。

刑事調査官がほどなく現場にやってきた
「県警から刑事調査官が行って調査しその上で行政解剖を行った」と沓掛哲男・国家公安委員長が国会で答弁している。
時間経過が判明していないが、沖縄県警から那覇署までの距離はおよそ1.2kmほどである。また現場までも1.8kmぐらいの距離である。
那覇署長から連絡が入って移動するのに10分かからず現場に到達している距離である。

時刻は不明だが、県警の刑事調査官といっしょになって動き始めた時刻がポイントになってくる。



沓掛大臣の答弁では、「刑事調査官が調査をしてその上で行政解剖を行い、自殺と判断し」とゆっている。また解剖した琉球大学の教授が死体検案書を1月19日の日付で遺族にはその日の午後6時半ぐらいにその説明を受けたとブログに書いている。

そうなると、刑事調査官は死体解剖にも立ち会っているはず(これは任務の一つになっているから)で、常識的に考えて18日と19日の両日は那覇署と一緒に動いていると考えられる。
しかし、19日付けの死体検案書をその日の午後6時半ぐらいにその説明を受けているので、18日は医師による検死は行われていないと見ている。費用も発生する医師による検死を2回も同じことを行うことはちょっと考えられない。

そうすると、那覇署の行動に疑問がでてくる。
検死も済んでいない段階で遺族に「自殺だ」と伝えたことになる。だれか医師を立ち会わせて検視をしてそれで「自殺」と決めたのだろうか。
どこかの時点で那覇署長が「死因の認定」 をしているはずだが、それがどの時点であったのか、その整合性が問われる。

野口さんは 1月18日15:45に県立那覇病院で死亡が確認され、その後、那覇署の裏にある遺体安置所に移送されて安置されていた。翌1月19日13:30頃までは那覇署に安置されていたことになり、その後で琉球大学に「検視」に出されたと報道にあった。この「検視」が間違ってないとすると警察は「検視」もしないで「死因の認定」 をしていることになるのだが・・・・

行政解剖は法的に行えなかった    論点整理 もくじ    おーる氏に捧ぐ --野口さんの解剖はどんな意味があったのか


























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